第8話 (悟浄)

友達んちでテレビゲームやってたらすっかり遅くなった。
今日は夕飯当番だったの思い出して
やばいと思って友達んちを飛び出した所に、天蓬から電話。
どこにいるんです?夕飯当番でしょう。
家の近くの半田屋でご飯を食べる事にしたから、
そこに来て。という連絡。

外でメシなんて、初めてじゃねえか?
ていうか天蓬とすら2人で外でメシを食った事も無い。
何かあったんだろうか。
天蓬の機嫌、直ってるかな。最近機嫌悪そうだった。
八戒は少し話すようになったけど、まだつっけんどんな感じするし。
これからあの2人と顔を合わせてメシ。と思うと向かう足が重い。

でも意外な事に、2人とも機嫌が良さそうだった。
てっきり2人とも店の中に入ってとっくにメシ食ってるかと思ってたのに
2人揃って律儀に店の前でつったって俺の事待ってるし。
「わり・・・。友達んちでゲームしてて遅くなった。」
「悟浄。ひとつ貸しです。
明日僕が夕飯当番なんで代わってください。」
「いーよいーよ。どうせ天蓬が料理当番だと
いっつもサッポロ一番だもん。」
そんなやりとりをしたら八戒がくすりと笑った。
なんだ、笑えるんじゃん。しかも結構かわいい。

なにはともあれ2人の刺々しさは無くなってるし
気づいたらすげえ腹減ってるしで
さっきの憂鬱な気分はどっか行って、「3人で半田屋」っていう
レアなシチュエーションになんだかわくわくした。

取る料理で見事に性格が出てるのもおもしろい。
八戒は魚煮物ご飯みそ汁でお手本みたいにバランスが良い。
天蓬は自分で料理する時いっつもラーメンのくせに、
ここでもラーメン頼んでる。飽きねえのか。
そういう俺は肉とか揚げもんばっかだ。

食後、八戒がセルフのお茶を取りに席を立った時、
天蓬から話をしてきた。今日あった事と、八戒の事を。
「だから悟浄。八戒を一人にしないようにしましょう。
僕もこれからなるべく早く帰るようにしますから。」
「俺はいいけど。 でも俺、八戒に嫌われてるかも。」
「大丈夫。意地張ってるだけです。
出会って間もない相手に弱いところを見せられないだけ。」
そう言った天蓬は、「機嫌が良い」ともまた違ってて、
楽しそうというか。うまく言えないけど、ああ、「兄貴」してるなあ。と思った。
今までの天蓬はおやじの息子でも、俺の兄貴というポジションも
しっくり来なくて、本人にその自覚も無かったと思う。
でも今は、完全に「兄貴」の顔になってる。

「何かあった?兄貴。」
「さあ。僕も自分が何考えてるかよく分からないですけど、」
八戒が、俺らの分までお茶を持ってきてくれる。さんきゅー。
天蓬がお茶を一口飲んで、言った。
「兄貴も、悪くないなと思って。」
そして「兄貴」の顔したまま、小さく笑ったから。
初めてそんな顔見たから。
見とれててお茶をこぼした。

そんな感じで、今日は初めてのことばっかりで。
あの後八戒が「今度は一緒に行きますから。だからまた誘ってください。」
って言ってくれたのもうれしかったし、
家帰ってから3人でゲームやったのも楽しかったから。

別にいいよ、おやじ。母親の事は。

夜中。俺だけ起こされて、
仕事帰りの、珍しく真顔のおやじに、聞かれた。
リビングでこそこそと。
「お前、さ。母親に会いてえの?」

「別にいい。俺は今のままでいい。」
会えねえんだろ?おやじ。そんな顔しやがって。
俺置いて出てって、今まで一度も会いに来なかったってことは。
俺はいいよ。だって、今日、楽しかったから。
天蓬のあんな顔、初めて見たし。
八戒ともうまくやっていけそうだし。元々弟ほしかったし。
だから、いいよ。
俺には天蓬も八戒もいるから。

 

兄貴兄貴連呼しすぎて妙な気分に。そっちの兄貴じゃない。
「兄貴(兄貴系とのセックスも)も悪くないなと思って。」とか、また妄想に浸ってたわけじゃないです!
どれだけ暴走してるのかと・・・!

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