第5話 (捲簾)
「あぁ・・・っん!」
天蓬の、甘い声が耳から離れない。
蓋を、閉めないと。もっときつく。
夕方。
会社を抜け出して自分の母校でもある薬科大へと向かった。
自分の先輩にあたる敖潤が、准教授として働いている。
今日は新薬の情報を聞き出すために、その敖潤と大学で会う約束をしていた。
階段を上って懐かしい、年季の入った校舎を歩く。
薄暗くなった校舎には明かりは無く、敖潤の研究室の部屋だけ、明かりがもれていた。
そういえば今日は祝日だったか?
土日休み関係なく働いてるからそんな感覚とっくの昔に忘れた。
天蓬も、今日も研究室にいんのかな?まあ、どっちでもいいけど。
天蓬は、この大学の修士課程に通っている。
そして敖潤の研究室に所属している。世間は狭い。
というかあいつなりに実父の研究に興味をもって、引き継いでるのかもしれない。
そんな事を考えてたら。
敖潤の研究室から、声が、漏れた。
「あぁ・・・っん!」
「・・・今日は、感度がいいな。」
「そんな、ことは・・・んんっ!」
僅かなドアの隙間から研究室を覗き込むと
天蓬が机の上に座っていて、その足の間に敖潤が顔を埋めていた。
足の間から僅かに見える、そそり立った天蓬のそれをしゃぶる、じゅぷ、という音。
敖潤の舌使いに身を捩っては甘く艶のある声で喘ぐ天蓬に
釘付けになって、息を殺して、覗き見る。
「ぁっ・・・そこ・・・っ、もっと、、、」
そう言うと敖潤はじゅぶじゅぶ音をたてて
天蓬を扱き上げ、追い立てた。
「ちょ・・・待ってまだ、イキたくない・・・です。」
敖潤が唇をそこから僅かに離すと、細く、糸をひいて。
「もっとと言ったのは、そっちだろ。」
そう言うと、舌先で先端をひと舐めし、天蓬の体がびくんと揺れる。
敖潤の髪を撫でていた天蓬の手が、「待って」と
ぎゅっと敖潤の服を掴んだ、にも関わらず、
敖潤は両手で太ももを押さえつけてさらに開脚させて
顔を深く埋めた。
いっそう強く、速く、天蓬を攻める。その音も大きくなって
天蓬の喘ぎと一緒に研究室の中を満たしていた。
「あ・・・も、駄目。そこ、強く、吸って、くださ・・・」
敖潤は銜えながら、ふっと苦笑すると、言われた通り
ちゅる、と音をたてて吸う。
「・・・あ!」
びく、びく、と震える天蓬の体。敖潤ののどが、ごく、と鳴る。
その時。天蓬が、首を傾けてこちらを見て
笑った。
あいつ。
俺が来る事を知ってて。いる事を知ってて。
知ってて見せつけられたのと覗き見してた事がバレてたので
怒りとか動揺とかいろんな感情がどっと押し寄せて
俺はその場を立ち去った。
タバコに火を付けてその辺のベンチに、座る。
「あぁ・・・っん!」
天蓬の、甘い声が耳から離れない。
ぎゅっと、敖潤の服を掴む天蓬。
昔、俺も掴まれたなあんな風に。あの時の、乱れっぷりもまた。
いやいやいや昔の話だ。昔の。
混乱する頭の中に昔の事がよぎって混乱ごと振り払おうと
頭を振ったら。
いつの間にか隣に天蓬が座ってた。
「うお!?」
「誤解しないでほしいんですけど、准教授とは何もないんで。
作業に詰まったんで、ただの気分転換です。」
「・・・んだよ!知るか!
わざわざあんなの俺に見せつけるな。
言いてえことがあるなら口で言え!」
じゃあ、と天蓬が俺に向き直る。
「あなたとヤりたい。今すぐ。」
「却下。」
天蓬が、盛大にため息をついた。
「俺たちは親子なの!だから言ってるだろ。
そういうのはやらねえって。
もっとあるだろ。親子でもできることがよー。」
こういうやり取り、何度したっけ。
天蓬はいつもの通り、俺を睨んでる。
「僕は家族ごっこに付き合ってる暇はないんです。
そういうのは、悟浄とか八戒としてくださいよ。
2人とも、親にかまってほしいと思ってる年頃。」
「は?八戒はともかくなんで悟浄。」
ていうか俺の前では2人ともしれっとしてるし。
悟浄に至ってはうまくやってると思ってたけど。器用に。適当に。
「自分の母親の事、気にしてますよ。
どうせあなたの事だから、何も言ってないんでしょうけど。」
あーそういえば、そういうこともしねえといけねえんだよなあ。
天蓬は相変わらず俺を睨んでるし。
会社に戻れば、仕事はまだまだ残ってるし。
やる事は山積みだ。
![]()
敖潤×天蓬を捲簾が覗く話・・・。
天蓬、一度抜いた直後に「あなたとヤリたい今すぐ」って、すごいな(笑)