第4話 (天蓬)
朝。家族4人が唯一顔を合わせる時間。それが朝食。
だけど、特に誰とも話なんかしないから、静かなものだ。
捲簾はパンを齧りながら黙々と日経新聞を読んでる。
悟浄は八戒 に「ジャムぬる?」とか「お前シリアル食う?」とか
健気に話しかけている。最初は無口で暗かった八戒もそんな悟浄には
心を開いている。ように見える。
父親である捲簾は適当人間な上に仕事で超多忙なので
あからさまに暗かった八戒にも構ってやることはなかった。
そしても僕も八戒と悟浄になんにも構ってない。ノータッチ。
すみませんね。一応、僕、長男なのに。
その分悟浄は、大人だ。きっと自分や捲簾よりも。
周りの空気を読んでそれなりに行動できる。
母親の存在が気になって揺れてる自分の気持ちも反抗期も押し殺してでも。
自分には到底できない。
どうしても自分の欲が勝つ。
捲簾。
人の気も知らないで。新聞読んでる場合じゃあないでしょう。
ちょっとは自分の息子に構ってくださいよ。
特に僕に。
トーストやコーヒーなんて取っ払って、
今すぐこのテーブルの上に押し倒したい。
あなたの上に跨がって、口腔を味わうようにねっとりとキスしたら
あなたもその気になってくれるでしょうか。
抵抗するようなら最初のうちは両手を押さえつけて。
もうちょっとたてば、そんなの必要なくなりますけど。
その形のよい喉仏に歯をたてて愛撫する。次は首筋。
舌先で撫でるように。きつく吸うように。ずっとこうしたかった。
あなたはきっと、漏れそうになる声を押し殺す。
跨がった、体が密接したその部分から、布越しでも分かるあなたの熱。
腰を動かして刺激してみる。
あなたはたまらなくなって、押さえつけられてた手を振り払って
僕の腰を強引に掴む。あの時みたいに。
ぐるりと体勢を変えて、形勢逆転。僕を組み敷く。
そしたらまた、あの日と同じ。ひたすら激しいキスを。
キスだけでイクぐらいの、最高に気持ちのよいキスを。
唇に、耳に、首に、体すべてに。
そんなにされた後に、ズボンの中に手を入れられて
握られたら、きっとどろっどろになる。
恥もなにもなく。体が反応するままに。
声も抑えることなく、ひたすら喘ぐ。
ああ、そんなに激しく扱かないで。
手で扱かないで。あなたのと、一緒がいい。
僕の上に跨がるあなたの、スーツのチャックを開けて、
中のものを取り出す。あなたは僕以上に濡れてて。
笑っちゃうくらい。
あなたも僕とこうしたくて、ずっと我慢してたんでしょう?
そうでしょう?ずっとつまらない意地をはっていただけ。
お互いのを握って扱き合う。
あなたの指が、先端が、ぬるぬると僕のを愛撫する。
僕も、添えた指と、自分ので、あなたを愛撫する。
あなたの息があがるたび、愛しくて愛しくてたまらなくなる。
もう、だめです。きっと保たない。
ああ。
あなたの指で、それで、達する快楽と
射精した痴態をあなたに熱い目で見つめられる快楽と。
そんな僕を見てあなたも続けざまに達する。
あなたのスーツが、僕の服が、テーブルが、
互いの精液で汚れて。
そんな妄想を、もう何度も。
「天蓬、具合が悪いんでしょうか。」
ぬるくなったコーヒーを見つめたまま動かない僕に気づいて、
八戒がこそっと悟浄に聞いた。
「あー、天蓬はいつもああだから。気にすんな。」
悟浄が言う。そうなんです。いつもの事。いつもの妄想。
そして妄想の中で絡み合ったあなたは、そんな会話が
聞こえてるのか聞こえてないのか。新聞から片時も目を離さない。
それもいつもの事。
なんて憎らしい。
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まさかの妄想オチ!みんなでご飯食べてる時にひとりセックス妄想してる天蓬が書きたくて書きたくて。