第7話 (捲簾)
「てめえら蜂の巣決定な!」
扉に向かってサブマシンガンを連射する。
振動とこの轟音。これがたまらなく好きだ。
あいつらこんなとこで死んだらマジキレるぞ。
俺をもっと楽しませろ。
ボロッボロになった玄関を蹴り開けると反撃。
中から何発か撃って来たので壁に身を隠す。
いいねいいね。そう来ないと。
銃声が途絶えたから今度は俺の番。
今度は手当たり次第に乱射して
部屋の中、隅々まで木っ端みじんにする。
連射を止めると今度は反撃が無かった。
ハンドガンに持ち替えそろそろと部屋の中に足を
踏み入れる。さてどう出るか。
部屋の中程まで進んだ時だった。
隣の部屋の中を一瞥して飽きれた。
天蓬がキスしてる。八戒と。
注意はすぐに、悟浄が潜んでいるであろう
部屋の中へと戻したがしかし。
あいつ、なんて顔してやがる。
しかもこのシチュエーションで、
そんな気持ち良さそうな顔するか普通。
見てるこっちまで欲情するような。
そんな事を考えていたら
突然でかい本棚がこっちに倒れてきた。
本棚越しに、真っ赤な髪が揺れてる。
こいつが、沙悟浄か。
「こんにゃろ・・・!」
身をかわしてギリギリのところで避ける。
「・・・あんな奴と仲良く一緒に逃げて自分から
抹殺対象になるなんざ、てめえも物好きだな。
つかお人好しだな、沙悟浄。」
「るせ・・・!分かってるっつの!」
今度は悟浄の蹴りが飛んで来た。
もろにみぞおちに入って一瞬息が止まる。
ふっとんで背中から壁にぶつかった。
なんてバカ力だ。
口の中を切ったらしく吐いた唾が赤い。
「くっそ!・・待てコラ!」
立ち上がろうとするものの
壁にぶつかった時に頭を打ったらしく、
目がまわって立てない。みぞおちは半端ない痛み。
悟浄が隣の部屋に向かって叫ぶ。
「八戒!生きてるなら行くぞ!」
隣の部屋から駆け出す八戒が、スローモーションで見えた。
なんとか起き上がって、ハンドガンを握り直すと、
天蓬も隣の部屋から掛け出てきた。
逃げる八戒に向かって、天蓬が銃口を向ける。
2発の銃声。
ドン!ドン!
八戒は倒れることなく走り去っていく。
悟浄は?視線を動かせば、こちら側に向けていた
銃口を下げて、身を翻し八戒と共に走り去っていく。
天蓬は?
見上げると、天蓬のYシャツにできた赤いシミが
じわじわ大きくなっている。
悟浄が、撃ったのだ。天蓬を。振り向きざまに。
天蓬が、どさりとその場に崩れ落ちる。
「こんのバカ!」
駆け寄って仰向けにさせると、右胸に2発くらっていて
幸いにも弾は抜けているようだが、
げっほ!と咳き込むと同時に吐血した。
「肺やられてる!しゃべんな!」
急いで携帯から救急車を手配する。
「このバカ!お前、わざと悟浄に撃たせやがったな・・・!」
「ど・・・して追わないんですか。」
「お前がそうさせてんだろーが!
2人逃がすために、俺に撃たせず追わせないために
八戒に銃口を向けて自分を悟浄に撃たせた。違うか?」
天蓬は何も言わず俺を見つめる。
その、口の端が、笑うようにちょっとだけ上に上がった気がした。
遠くでサイレンの音が聞こえる。
普通なら救急車を手配した後に2人を追ってた。
だが追わずに、自分はこうして天蓬の隣にいる。
俺も多分、物好きのお人好しだ。
「人が戦ってるってのに八戒とあんなことしやがって
この色狂いが。あげく振られりゃ世話ねえな、ざまーみろ。」
そう言って笑ってやると、天蓬は
「うるさい」と一言言って、笑った。
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