第6話(八戒)
今日は朝から気が進まなくて。どうしてもだめで。
呼び出されたラブホテルの前まで来たのに
そこから少しも前に進めなくなった。
だから。
たった一度のつもりだったのに。
明日からは今まで通り真面目に働くつもりだったのに。
どうして自分はこんなにもついてないんだろう。
運悪く今日の客は
自分がお金を借りている組織の人間で。
しかも帰り道にその仲間に捕まって。
その組織・・・ヤクザの事務所に連れてこられた。
自分の隣で電話に向かって叫んでいる男は
ここのナンバー2だろうか。
「はあ、じゃねえよ!!オタクの店どうなってんの!?」
「ワビ入れに来い!今すぐ来いよ!」
どうやら、捲簾がここに来るらしい。
連れてこられたのはとある雑居ビルの一室。
応接セットとデスク。
というレイアウトは捲簾の事務所と同じなのに何もかもが違う。
デスクにはこの事務所のトップとおぼしき男が
どっかり座って煙草をふかしている。
あとは一目でその筋の人間と分かるような黒スーツの男が10人程。
命令を待つ犬みたいに、突っ立っている。
どれも強面で、妖怪もいる。
これから、どうなるのだろう。
しかし。
「ちーす。」
現れたのは、捲簾で無く悟浄だった。
「おい、呼んだのは捲簾だぞ!?捲簾はどうした。」
僕の隣にいる男が怒鳴った。
周りの男達も口々に罵声を浴びせる。
場が、殺気立つ。
「すみません、捲簾は急用が出来て。俺が代わりに来ました。」
こんな強面に囲まれてるのに、普段通り飄々としている。
「ふざけんなよ!?なめてんのか!?」
男が、ジャケットの内側に手を入れた。
その時。
「捲簾もこんな若けえの寄越すとは、俺らもなめられたもんだなあ。」
デスクに座っていた男が口を開いた。
今まで喚いていた男だちが一斉に黙る。
「本来ならさあ、
もっと下の下の店で、朝昼晩問わず客取らせるモンなんだよ。
客だってあんたの所みたいなお上品な奴らばっかじゃないからさ、
そのうち体が使いもんにならなくなったら
生きたまま切り刻んで臓器売って、それ録画して映像売るような
下衆い商売してんだわ、俺ら。」
男が悟浄を睨みつける。
他の男達と違って、淡々と話しているのにこの迫力。
自分の血の気が引いていくのが、分かる。
男は続けた。
「それをあんたの所で働かせてるのは
俺たちなりの温情なわけよ。
女衒の野郎があまりに上玉だって言うからよ。
・・・なのにこんな事されちゃあなあ。
今からでもこっちの店で働いてもらわにゃいかんな。
一生逃げられねえようにずっと鎖で繋いでな。」
まさに、一触即発の空気。
でも悟浄はひるまず、男を見据えて言った。
「今回の事、すみませんでした。
お怒り、ごもっともだと思います。
だけど、もう一度チャンスを貰えませんか?」
「てめ・・・どの面下げ・・・!」
チンピラが叫んだところに、悟浄がかぶせて言う。
「女衒さんがおっしゃる通り、この顔です。
今言った方法で働かせるよりも、もっともっと稼げますよ。」
つかつかと、僕に近寄る。
いきなり後ろ髪を掴まれてキス。
息もつけない程激しい。
「んっ・・・ふ・・・ぁ・・・」
なのに、気持ちいい。さすが店の元ナンバーワン。
なんてキスがうまいんだろう。
こんな状況でそんな事を思ってしまった。
「ほらね、この顔。見ました?ノンケでもクるでしょ?」
もう一度キス。
その時。悟浄の口から飴のようなものがねじ込まれた。
わけも分からず飲み込む。これは一体?
悟浄は何事も無かったかのように唇を離す。
はあはあと呼吸を整えていると、顎を掴まれ
顔を無理矢理男達の方に向けさせられる。
「お客さん達はこの顔がいいんだって。みんなそう言いますよ。
俺、いままで売り上げナンバーワンだったんですけど。
2ヶ月でこいつにあっさり抜かれましたもん。」
そう言って悟浄は僕の後ろにまわると、そのまま僕を抱き締めた。
僕のうなじをぺろりと舐める。
「っ・・・・!」
「あとね・・・、」
そのままくちゅ、くちゅ、と音を立てながら耳をしゃぶりだした。
悟浄の手は内股やお尻を撫でている。
こんな状況で、一体何を!?
「今日は逃げ出しましたけど、
この壁越えたらきっと
こいつはこの仕事から抜けられなくなる。」
なぜだろう。
こんな状況なのに。
悟浄が舐めた所が、触った所が、熱くてじんじんする。
気持ちいい。もっと欲しくなる。
服の上からそこに触られると、声を抑えられなかった。
「あっ・・・!はぁっ・・・」
「やらしいんですよ、こいつ。これは生来のもんですよ。」
だめだ。たった今触られただけなのに、
服の中ではもう、熱を持ってかたくなってる。
自分の顔が赤くなるのが分かる。
触られただけでこんなに?
しかも、体がもっと、もっと、と欲しがって疼く。
こんなところで?
それが恥ずかしくてたまらない。
なのに悟浄は無情にも
ズボンのボタンを外しファスナーを下げ、下着ごと一気に下げた。
「ほら、ね?」
「ひゃ・・・」
悟浄の冷たい指が
尖端の割れ目をくりくりと弄る。
それだけで、体が跳ねるように喜んだ。
もうこれ以上は。
「ごじょう、もう、やめてくださ・・・」
「何言ってんの?
お前の良さをプレゼンしてやろうってんじゃん。
現にどろっどろでしょ?見られて感じてんじゃん?」
男達が一斉に僕を見ている。
それで萎えると思ったのに。
そこはどんどん濡れてきて。
悟浄が扱くと、水音がするくらいに。
「あっ・・・ん・・・あぁっ・・・やめて・・・」
「おら、こっち来い八戒 。」
悟浄はズボン類を僕から完全にはぎ取ってしまうと
僕の髪を掴んでデスクの前まで歩かせた。
そしてそのデスクに僕の顔を押し付ける。
その時、後ろからいきなり悟浄のそれがねじ込まれた。
「んんっ!あっ・・・はぁっ・・・!」
振り向くと、悟浄が冷たい目で僕を見下ろしている。
そのまま激しく腰を打ち付けられた。
ぎちぎちに悟浄のが入ってる。
それだけですごく感じる。すごく濡れていく。
「あぁっ・・・ぁん・・・ふぁ・・・」
僕の喘ぎ声が響く中、
悟浄がそのままヤクザに話かけた。
「・・・っ、それまで、俺が責任持って、教育しますから。
今日の所は、許してもらえませんか?」
「ほら、お前からも何か言えよ。
すみませんでした、二度としません、許してくださいって。」
後ろ髪を掴まれて、顔を上げる。
鼻先数センチ先にヤクザの強面。
それでも悟浄は激しく突いてくる。
「すみ、ません・・・、ぁっ・・・
二度としません、から、ゆるして・・・くださ・・・」
ヤクザが顔を歪めて笑った。