第2話(捲簾)

「あっ・・・・はぁっ・・・は・・・」
壁に両手をつかせて後ろから扱いてやる。
八戒のそれは充分に堅く熱く濡れていて
扱く度にやらしい水音がする程。
よしよし。感度は抜群だ。
俺はバイブにローションを垂らし始めた。

ここはラブホテルの一室。
八戒の「仕込み」もこれで何度目だっけ。
聞けばこいつは男相手の経験が無いというので
初めて客を取る時までに
こうやって体を慣らしてやってる。

コールボーイは未経験者の場合、
「いきなり本番」は絶対無理だから
こういう「仕込み」が必要なのだ。
これも一応俺の仕事。

「入れるぞ」一応一言言って
指で慣らしたそこに、ローションで濡らしたバイブを
徐々に挿入した。
「はい・・・んんっ!・・・あっ・・・ぁ」
尖端をゆうに銜え、みるみるうちに根元まで飲み込んでしまう。
電源を入れて、前立腺のあたりを刺激してやれば
八戒は一層快感に喘ぎ、荒い吐息を漏らした。
しなる背、恥ずかしげに伏せた目、
生っ白い素肌も赤みがさし、汗ばんでてらてらと光っている。
いいねえ。そそる。こいつは売れるわ。
ナンバーワンも夢じゃないかも。

ていうか大卒で頭が良いから飲み込みも良いんだろう。
仕込みも今回で終わりにできるな。
あんまり慣らしすぎても初見世の価値が下がるし。

なーんて事を考えてたら
八戒が信じられない事を口走った。
「ん・・・ぁ・・・入れて、ください・・・」
これはまずいな。慣らしすぎたかも。
「あほ・・・商品のお前に手、出すかよ。
そういうのは客取った時に言・・・」
そこから先は遮られた。
八戒に唇を塞がれて。
妖怪特有の、ちょと長い舌がねっとり絡み付いて。
「入れて」

ああもう。

バイブを引き抜いてその辺に放り投げる。
八戒の腕を掴んでベッドに押し倒す。
下だけ脱いで後ろから一気に挿れた。
「あぁっ・・・!」
こいつん中すげえ熱い。
やばい止まんない。
「あっ・・・ぁ・・・ン・・・あ・・・!」
しょっぱなからガンガンに突いてやると
中が締まってまた・・・。
シーツをぎゅっと握って振動に耐える様もクる。
前を触ってみたら・・・腹に付くくらい反ったそれはもうどろっどろで。
「は・・・あぁっ・・・やめ・・・出ちゃい、ます・・・!」
「出せよ。俺もこのまま、中、出すぞ。」
「あっ!」
ふいに、八戒の中がきゅうっと締まって。
「う・・・く・・・」
八戒の中で、イッた。

あーあ、やっちまった。
と思ったが後の祭りで。

後日。
事務所に待覚社長が現れた。
もう結構な歳だがバリバリの現役で一流企業の社長。
かなりの遊び人でこっちの世界もバリバリの現役。
ウチの常連。そして八戒の初見世の客。

「お前の所は相変わらず良い男を揃えとるのお。」
そう言ってソファにどっかり座ると葉巻をふかした。
「いつもありがとうございます。どうでした、八戒。」
「あいつは・・・一見大人しそうに見えて化けるぞ。
これからが楽しみじゃわい。」
やっぱり。男も女も遊び尽くしたこの人が言うんだから間違いない。
あいつは何か持ってる。人を狂わせるような何かを。

そんな考えが顔に出てたか否かは知らないが、
待覚社長がにやにやしてる。
「どうしました?」
「いや、お前さんも奴の毒牙にはまったようだの。
少々慣らし過ぎの感があった。」
バレてたか。
「・・・すみません。」
「くっくっく・・・まあいい。
ただお前の連れでここの従業員の・・・えーと、」
「天蓬ですか?」
「そうそう、天蓬には黙ってといてやるわい。
あれも中々嫉妬深いからの。」
余計なお世話だ。

 

そのまた後日。
「新人さんが入ったって、こないだ待覚社長から聞きました。」
天蓬はそう言って事務所のデスクに向かってる俺に
後ろから抱きついてきた。
白い腕がするりと首に絡まる。

別にべたべたしたい訳ではない。
俺を観察したいだけだ。新人の仕込みは俺の仕事だから。
こうして探りを入れて来る。変な気持ってないかと。
気になるなら口で言やあいいのに。

「今度シてみようかなあ。新人さんと。」
「あ?何言ってんのお前。」
「あ、もちろんお金払ってですよ。」
「そういう問題じゃなくて。」
「待覚社長が美人って言ってたから。
あ、あなたも気になるならいっそ3人でします?」

なんて分かりにくくて面倒くさい嫉妬。
俺たちはいつもこんなんだ。

つか、あのクソジジィバラしやがったな。

 

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