第1話(八戒)

「親の借金返す為に奨学金で大学行って弁護士まで
なったってのに失業か。あんたも大変だなー。」
捲簾と名乗った男はソファにどっかり座ってそう言った。

場所は雑居ビルの一室。ある事務所。
この男の趣味なのか、ダークな色調のクールモダンで
統一された部屋には応接セットとデスクが一つ。

「そうそう。今、妖怪差別すごいからねー。
弁護士なんてお堅い職業なんて特にじゃない?
ちょっと前までそんなんでもなかったのにさ。」
僕をここに連れて来た男がそう言った。

「ウチの客でもたまにいるな。
『絶対人間じゃなきゃ駄目』ってのが。」
「最近この辺で連続殺人だの人喰いだの、
妖怪絡みの事件続いたからからね。
まだ妖怪が多い土地に行けば違うんだろうけどさぁ。
いかんせんこの子借金があるから簡単に別の土地に移れないし。」

そうなのだ。全く同族といえど迷惑なことをしてくれる。
やっと弁護士になれて、仕事に慣れてきて。
これから、という時に。
自分に回される仕事が減って、いつの間にか事務職に移動されて、
その果てに退職勧告だ。
別の弁護士事務所に転職しようにも
妖怪というだけで門前払い。
差別だ違法だと叫んだ所でそんな間にも借金の利子は増えるし
奨学金も返済しないといけないし。

そんなこんなで返済に行き詰まって
連れてこられたのが、ここだ。
コールボーイの事務所。
捲簾と名乗ったのこの男は、ここのオーナー。
僕をここに連れて来たこの男は、女衒。

これから体を売って借金を返していくのだ。

 

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