第2.5話(八戒)
今夜はもう仕事なんてできない。
携帯電話を取り出して電話をかけると、相手はすぐに出た。
「今、会えます?」
単刀直入にそれだけ聞く。
「会える。じゃあいつもの場所で。」
相手も僕と同じように淡々とそれだけ答えて、電話を切った。
僕は急いでパソコンの電源を切って、鞄を掴んでオフィスと後にした。
会社から一駅の、いつも使ってるホテルに着くとメールが届いて
本文には部屋の番号だけ書かれていた。
部屋に入ると相手はすでに裸でベットに腰掛けてた。
この人と出会ったのは大学2年の時だっただろうか。
付き合ったのはほんの1年くらいだったのに
別れてからも体の付き合いだけがずっと続いている。
僕はその間何人かと付き合ったし
相手は結婚して子供もいるのに関係が続いているのは
単に体が合うからで、恋愛感情とかそういったものはお互い全くない。
相手の家庭のこともあって、いつかは関係を絶たなきゃなあ
とは考えていたけど、今までずるずるきてしまった。
鞄をその辺に置いて、服を脱ぎ始める。
「痩せたか?」
上はすっかり脱いで、カチャカチャとベルトを外していたら唐突に聞かれた。
めずらしい。最近は会っても会話すらしなかったような。
「かもしれませんね。最近忙しいから。」
全部脱ぎ終わってベットに寝転んで足を開けば
ローションをたっぷりつけた指が、にゅる、と僕の中に入って来た。
「あッ・・・!んんっ・・・」
僕達の間には、普通の恋人にあるような、恥じらいとか、相手を気持ちよくさせよう
なんて気持ちはない。だたそれぞれが己の快楽を貪るだけ。
忙しすぎる日常も
天蓬の甘い声も
天蓬のズボンに突っ込まれていた捲簾常務の手も
今はすべて忘れてしまいたい一心で
僕は行為に集中していった。