第1話(捲簾)

「なあ、最近八戒部長、艶っぽいと思わねえ?」
「さあ・・・あぁん・・・」
金曜日。時刻は23時過ぎ。場所は俺の部屋(常務室)。
天蓬は俺の机に手をついて背をそらせ、尻を突き出してる。
その尻にバックからずぶずぶと挿入すれば、天蓬の甘い声が漏れた。鼓膜が犯される。
「悟浄とうまいこと、やってるのかね。できてるだろ、あの二人。」
ぐっと奥まで腰を進めながら話す。
「ん・・・どうして、そうなるんです。それ、あなたの、妄想でしょ。
あぁ!・・・やめ・・・」
天蓬が背中をますます反らせて体を支えている手のひらに力を入ると、
机の上の書類がくしゃ、としわになった。やべ、三蔵の決済申請だ。
「洞察力っつってよ。なに、やめていいのか?」
「や・・・やめないで。続けて・・・」
「ほーい。」
「ああぁっ・・・!んんっ」
奥の奥。天蓬がよがるところを何度も突いてやると
天蓬から大きめな声が漏れてひやりとした。
常務室がいくら業務フロアから離れてるといっても
こないだのように八戒やらがいつ入ってくるか分からない。
(基本、やってる最中は鍵閉めるけど、あん時は忘れてた)
口を塞ぐかわりに指を口に突っ込んでやったら
天蓬の舌がねっとり絡み付いてきた。ちゅる、ちゅる、と音を立てて。
やばいもってかれる。俺は射精感をぐっとこらえた。
全くどっちがやられてるんだか分からない。

 

俺の部屋には、自分の机と、簡単な応接セットがあるので
そこで社内の打ち合わせをしたり客を通したりする。
終わった後の天蓬は、そのソファに座ってだるそうにぼーっとしてた。

こいつと関係を持ったのはだいたい半年くらい前だったか。
最初はお互い楽しくやってたと思うが(天蓬はあんまり話はしないが
楽しそうだった。と思う。表情からして。そこそこ笑ってたし。)
最近は始まる前も後も無表情であることが多い。
最中は分からないけど。場所が場所だけにいつもバックで入れるから
やってる時どんな顔してるのかは見えない。(ここでしかやったことないし)
やる気がないわけでもないようで、打ち合わせが終われば「やりましょうよ。」
と自分から言ってくるものの、以前と比べると随分淡々と言うようになった。

全く何が不満なのかね。
冗談半分で言ってみた。
「誰かに振られでもしたか?」

間。
「んー・・・今ちょっと頭回ってないんでよく分かんないですね。」
俺はふっと吹き出した。どんな返事だよ。でもまあ、こいつらしくはある。

 

それはそれで月曜日。
俺は新幹線の中で資料に目を通していた。
新幹線で3時間の地方都市に今日から1週間出張だ。
やべ、天蓬に言うの忘れてた。夫婦でもあるまいしいちいち言わなくてもいいんだけどさ本当は。
でもこの前1週間以上出張で不在にしてたらあからさまに不機嫌になりやがって
しかも自分がすげえ不機嫌になってる、って自覚がねえから余計にタチ悪いんだよな。
それで不機嫌になったり、そうなる理由が分からなくてぐるぐる考え込んでるような
ところがおもしろいっつーか好きなんだけど。
ひょっとして昨日のあの態度もなんかご不満があってのことなんですかね。

そんなわけで火曜日。
ホテルから会社に電話かけて天蓬に繋いでもらったら、案の定不機嫌。
「で、昨日クライアントに訪問しておまえが作ってくれた資料あったろ、
それ見せて話進めたんだけど反応イマイチだったんだわ。
お前の資料は問題無いんだけど。」
「はあ。」はあって・・・やる気あんのか。
「で、金曜日再訪問してもう一押ししたいんで
今度は人口流入と絡めて周辺地域の詳細なデータまとめてくんねーかな。
で、需要が十分あるって事と、うちの提案ならターゲット客層をあのクライアントに
集める仕掛けができるってところに落とし込みたいんだけど。」
「はあ。」上の空ってんじゃないだろな。
「で、マーケティング資料作って水曜の昼12時までに俺にメールで送って。
そんで確認してOKなら、5部出力して木曜日着で俺が泊まってるホテルまで郵送して欲しいんだけど。
プレゼン資料は俺が自分で作るから。」
「了解しました。」本当に了解してんのか!?
「急ですまんが宜しくたのむわ。あと永繕にかわって。」一応永繕にも同じ事伝えとこ。不安だ。
「お電話かわりました永繕です。お疲れさまです。」
「お疲れさん。つーかお宅の大将、やる気あんの・・・・?」
「今日は無さそうですね。」
何なんだよ。

そんなこんなで木曜日。
俺は固まった。
水曜日に天蓬からマーケティング資料もらって何回か手直しして
最終チェックしてOKだってんで郵送依頼して
今まさに到着した郵送物開けて中身確認したら。
資料の一部が、ない。5部全部。一部抜けてる。
どーゆうこと。凡ミス?いやそんなこと天蓬はしない。
永繕がついてるわけだし。故意?え?なんで?
天パってる場合じゃない。とにかく会社に電話だ。
俺は携帯電話を引っ掴んだ。

 

第1部から数週間経過してる設定です。

第2話へ

▲ダンス・ダンス・ダンス