ぐるぐるいろんな夢を見た。
その全部に天蓬が出て来たのは、
いつも天蓬の事考えてるからだろうか。
偏屈だしキレやすいし物臭だし部屋汚いし風呂入んないし。
でも、自分と同じ臭いがする気がして。気になる。
光の当たらない深淵で、もがいたり諦めたり開き直ったりを繰り返してる。
そういう臭い。ひねくれ感とでもいうか。
まあ向こうは俺の事どう思ってるのか知らんが。
最初こそ遠慮深かったが、なんかもう今は良い意味でも悪い意味でも遠慮無し。
戦術について議論してても、俺の意見に対して「そこまで言いますか!」的な
辛辣なダメだしを喰らわせる事もあるし、報告書はもう提出する所まで俺に押し付けられてるし。
それでも最近の俺は、正直に言ってしまうと「気になる」を通り越して
「かなり好き」の領域に入っていた訳で、本気7割冗談3割で「やらせろ」と言ったら
しれっと、「しますか?いいですよ。」ときたもんだ。
そんだけされても、いやそんな扱いされてるからだろうか。
何故か夢の中では天蓬の気持ちが分かる事になっていて、
夢の中の天蓬は、天蓬にしてはそこそこの好意を持って
俺に接してくれていた事になっていた。
出会って程なくしてからずっと。今まで。
なんというか、非常に分かり辛いのだが、
天蓬の部屋で、2人きりで戦術について議論してた時だって
あんなダメだししておきながら、内心は結構楽しんでたりとか。
非番あけが待ち遠しかったりだとか、
俺と話しする時は、他の奴と話しする時より少しだけテンション高いとか。
しれっと答えていたあの時が、実はかなりの好奇心を持っていた、とか。
翌朝の穏やかな気持ちとか。
本人も自覚してないくらいの、ささやかな気持ち。
極めつけは、いつも見る胸くそ悪い夢にも天蓬が出て来て、
天蓬は最後に俺を抱き締めて「好き」と言うのだ。
天蓬が俺に「好き」って。
もう俺は末期かもしれない。
その他に見た夢は何だっけ。
だんだん朧げになってきたけど、不思議な夢だった。
多分これも、天蓬の夢。
天井が、揺れて見える。
その視界に時たま人が入り込む。
自分に覆い被さってがたがたと揺らし続けるその人物は
男である事もあったし、女である事もあったし
官僚や士官、老人だったこともあった。
死んだ動物の躯のイメージがふっとわき上がる。
ハゲタカに臓物までも喰い荒らされて。
形あるものはどうせ壊れるし奪われるし消えてなくなってしまうから、
もう物には執着しない。
人は騙して犯して踏みにじっていくから、
誰とも深く関わらない。
床に寝転がると、そびえ立つ本棚。本ばかりが増えてゆく部屋。
身の内に貯めた知識だとか経験は
壊れないし、奪われないし、盗まれないし、汚されることもないから。
『客』が返った後はシャワーを浴びる。
ざあざあという音だけが響く。
両手を見つめると
擦りすぎて赤くなっている。
足を伝う精液は流れてしまってもうない。
何も変わっていない。何も奪われていない。何も減ってない。
なんてこと無い。
そんな夢だった。
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捲簾視点です。