番外編2前編(八戒)

「すべてを明らかにして
一から十まで全部把握していたいと思った事ありません?」
僕の突然の質問に、仕事の話だと思ったのか隣に座る天蓬は
「いつもそうありたいと思ってますよ。」
とさらりと言った。
「いや、恋愛の話なんですけど。」
天蓬は何度か「れんあい・・・れんあい」と呟いてから
「ああ、恋とか愛とかの恋愛ね。」と言った。他に何があるのかと。
天蓬は酔ってる。

今日は12月24日でクリスマスイヴ。だというのに
営業達は「営業部の忘年会」で、金曜日なのに皆早々に会社を出て行った。
年末と月末と週末が重なったこの日。例によって例のごとく遅くまで仕事していた僕は
明日土曜日に休日出社して仕事を片付ける事を決意し、
同じく会社に残っていた天蓬を誘って飲みに出かけた。というところだった。

クリスマスイヴに忘年会など、一体誰が言い出したのだ。
恋人である悟浄は入社後初めての忘年会であり断れるはずもない。
そしてクリスマスイヴにその辺の恋人達のように、夜景の奇麗なレストランで食事・
プレゼントを渡して・ホテルでセックス。というイベントに憧れてるわけでもない。
ただ、自分は一体悟浄の何なのか。とまた悩み出すきっかけとしては十分だった。
あれから悟浄の合コン通いも続いている。
僕は悟浄の心の中でどれほどの割合を占めているのか。優先度は?重要度は?
そんな考えがぐるぐる頭をまわる。

そんな話をしたら、天蓬はクスクス笑い出し
「八戒、あなたもそんな事で悩んだりするんですねえ。
少し安心しました。昔から真人間みたいだったので。」
と言った。そして立て続けに
「僕は色んな事があいまいな方が居心地良いです。
そのなかで一つか二つ、確かなものがあれば良いのではないでしょうか。」
と、酔ってる割にはしっかりした感じで言った。
「そうでしょうか」
「じゃあ、八戒。行きましょう。」
楽しそうにそう言ってすっくと席を立ったので驚いた。
「そんな事で悩むなんて時間の無駄です。
頭が空になるような、楽しい事、しなくては。その前にそのグラス、空けて。」
安心したと言ったり無駄と言ったり。見た目より酔ってるのかもしれない。
とりあえず僕は言われた通りグラスに残った酒を飲み干して
天蓬と一緒に店を出た。

それで一体どうしてこうなるのか。
数分後、僕たちは飲み屋の近くにあったラブホテルの一室、
ベッドの上でキスしていた。
やはり天蓬は酔っている。目は潤んでるし、会社で見た事ないくらいニコニコしてる。
なによりはだけたYシャツからのぞく肌が赤い。
「八戒、集中して。」
天蓬はガラス細工でも触るみたいに優しく優しくキスする。
強引で欲に圧倒されるような悟浄のキスとはまた違った・・・
言われた通り意識を唇に集中させると
くちゅ、くちゅ、と優しくキスされる度に甘い快感が広がる。
体の底からじわじわ疼くような快感・・・。

天蓬はゆっくり僕の服を脱がしていくと
かたく十分熱をもったそこに指を這わせる。これもまた優しく、丁寧に。
「ほら、もっと足を開いて・・・
こうしてると、勉強を教えていたあの頃に返って、いたずらしてる気分ですねえ。」
「あっ・・・ん・・・」
「貴方は素直で飲み込みが早いから教え甲斐があって。
今もそう。ほらもうこんなに濡れて。」
緩急つけて優しく扱かれる心地良さに、先端からどんどん先走りが流れ出てしまう。
天蓬とこんなことするなんて。天蓬にこんなところ見られるなんて。
「天蓬、も・・・恥ずかしいですって。」
僕自身を扱く天蓬の手をぎゅっと握ると、一層にっこり笑ってやんわり退けられる。

「恥ずかしがらないで。貴方はただ、集中すればいいのです。」
そう言って天蓬は自分で×××を解すと僕の上に股がった。
「?天蓬・・・まって・・・あ!」
天蓬の手に導かれて、僕自身が天蓬の中にゆっくり入っていく。
なんて暖かさ。中が僕自身に絡み付くように締まって・・・。蕩けそうになる。

「ん・・・八戒のが、熱くて・・・。すごく、イイですね。八戒、貴方は?」
熱っぽい天蓬の声。僕もこくこく、と頷くことしかできない。
それを見て天蓬はクスクス笑って、耳元で呟いた。
「ねえ八戒。本当は僕、全部があいまいな方が良いと思うのですよ。
・・・どう思います?」
突然そんな事言われて、ああ、飲み屋で僕が切り出した・・・と
ぼんやり思い出せたけど、天蓬が急に腰を揺らすして。
「あぁっ!・・・あっ・・・ん!」
僕の頭は快楽に占拠されて思考が飛んだ。
天蓬が微笑む気配だけ感じて。

 

天蓬騎乗位受け。そのをとこ(天蓬)ふしだらにつき・・・

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