第4話(天蓬)

あなたは話がうまくて人を動かすのがうまくて決断が早くて仕事が正確で
でも近くにいると気分にムラがあって案外子供みたいなところもあって。
いろんなことが分かりましたけど。
分からないことがひとつ。

そういえばあなたはどうして僕を抱くのですか。
最初はあそこ(常務室)でするセックスがスリリングで楽しかったんですけど。
最近何か足りない気がして。

「捲簾常務もあなたに愛情を持ってる。」
八戒はそう言った。そうでしょうか。

水曜日夕方。捲簾常務からの依頼だった資料は作成完了し、常務のチェックを通った。
永繕にその旨伝えてデータを渡すと、出力しきれいに順番通りに整えて左端をクリップで止めてくれる。
「永繕ありがとう。発送は僕がやりますからいいですよ。」
「何言ってるんですか!そんな誰にでもできる仕事、自分がやりますから。
体調回復したって言っても昨日倒れたんですから・・・無理しないでください。」
「ははは・・・大丈夫ですよ。発送くらい。」

「知ってそうな奴に聞いた方が早い事もあるんじゃねえか」
金蝉はそう言った。
それならそうしてみましょうか。

ぶつぶつ言いながらデスクに向かう永繕を確認し
僕は発送用の資料をぱらぱらと数枚抜き取った。

 

木曜日。
ホテルのドアをノックして名を名乗ると捲簾常務はすぐに出てきた。
「資料が・・・今会社に電話しようと・・・じゃなくて!えーと、おま・・・何でここいんの!?」
相当混乱してますね。部屋を覗くとテーブルの上に会社から発送した資料が並んでいる。
ジャストタイミングだったわけですね。
あなたのそんな顔見れただけでもここまで来た甲斐がありましたよ。
ああ楽しくなってきた。

「捲簾常務が明日のプレゼンに使われる資料の一部をうっかり発送し忘れてしまったのです。
なので、このミスを挽回すべく交通費自腹で自ら資料を届けに来た次第です。
因に出張決済は下りてますからご安心ください。・・・ところで、中に入ってもいいですか?」
「お・・・おう。・・・んっ」
動揺してるあなたがおかしくておかしくてたまらないからキスした。
部屋に入って後ろ手でドアを閉める。
「捲簾常務、僕のことが好きですか?」

捲簾常務はふっと呆れるように笑って「そーゆーこと。」とつぶやいた。
僕がここまで来た理由を理解したらしい。
「好きじゃなかったら毎日毎日やらねえだろ。」
そう言って、急いで来て乱れてらしい僕の髪をすくって左耳にかけてくれた。
その仕草がとても優しくて。
ああなんて・・・。

「ねえ捲簾常務。セックスしましょうよ。今すぐ。正常位で。」
首に腕を回して提案してみた。すると
「・・・体位限定なのかよ。お前って本当わけわかんねえ。」とつぶやいて
でも笑いながら捲簾常務は僕のジャケットの中に手を滑らせた。

 

「ん・・・!あぁっ・・・もっとして。」
「お前、本当後ろ好きだよな。後ろだけでいけるだろ。」
好きとかじゃあなくって、あなたの指使いが良すぎるんですよ。
くちゅ、くちゅ、と音を立てて強く心地よい早さで刺激されれば
更なる快感を求めてますます足を開いてしまう。
「前もさわって。」
「だめ。今は後ろだけでイッて。そんな顔してもだめ。」
この人のSっ気丸出しの、意地悪そうな目で見つめられると体がますます火照るのが自分でも分かる。
仕方なく自分で弄ろうとしたらその手も払われた。
「この淫乱。指増やしてやるからこれで我慢しろ。」
「あぁ!・・・んんっあっ・・・だめ、イク!ああっ・・・」
絶頂を迎える直前に僕の中から指がすべて抜かれすぐさま猛った捲簾自身が挿入された。
さんざん指で解されたそこは、いきなりの挿入にもかかわらず最奥まで一気に捲簾を受け入れる。
全身を突き抜ける、今まで感じたことのないくらいの凄まじい快感の中で絶頂に達した。
「お前ずげえエロいよ。イク時そーいう顔すんだ。そういや初めて見たな。」
射精の余韻で、はあはあと息を切らした僕の顔を覗き込んでそう言った。
緩くピストンするあなたの腰つきも相当そそりますよ。
息を整えながら上体を起こし、ぎゅっと抱きつく。
そして挿入されたままゆっくり捲簾を押し倒した。
「天蓬部長、これって正常位じゃなくて騎乗位って言わない?」
「いいんですよ。あなたの顔が見られれば。」
捲簾自身を締め付けるようにゆっくり腰を揺らすと
「ん・・・」とうわずった声を小さく漏らした。

あなたのそんな声、初めて聞きました。
ああ、なんて愛しいんでしょう。
ねえ。あなたのこと、もっと教えてくださいよ。
引き締まった胸板にそろそろと指を這わせた。

 

昔ananのセックス特集で、バックから挿入する体位(なんて言うんだっけ)は
征服されてる(している)感があって楽しいけど、毎回それじゃあ寂しい。
相手の顔が見える体位で達する方が愛を感じる・・・とかなんとかいう記事があって
第2部はその記事が元ネタになってます。

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