第6話
ニイ博士に捨てられて、施設に戻された時。
金蝉先生が言っていた。
お前はプロトタイプのクローンだから
狂人の遺伝子を持っている。
だから頭がおかしくなってしまうし
周りも狂わせてしまうのだと。
僕がひとりなのは僕のせいなんでしょうか?
だからみんなに飽きられて捨てられるのでしょうか。
だから花喃は死んだのでしょうか。
悟浄を初めて見た時。
髪が、瞳が
花喃にできた血溜まり
自分から出た鮮血みたいな赤で。
思わず見入ってしまった。
悟浄。早く僕を求めて。
「待てとか言って、なすがままじゃないですか。」
早く僕に触って。
「僕の体の事を気にしてるんだったら、大丈夫ですよ。
腕はまだ上がらないけど。たいがいの事はできます。」
傷つけていいですから。
「縛ってくれてもいいし。殴ってくれてもいいですよ。顔じゃなければ。」
痛くしてもかまいませんから。
「スカトロもなんとか。飲めと言われれば飲めるし。」
あなたの好きなように。
「圧迫系でもロウソクでもなんでも。」
滅茶苦茶にしてくれてかまいませんから。
「血が出るのでも全然大丈夫です。」
むしろ痛い方がいいんです。
「もうこの通りの体ですから。跡が残っても全然かまいませんし。」
むしろ傷付けてほしいんです。体に。心じゃないところに。
誰かに飽きられて見放されて捨てられて死なれて独りぼっちはもう嫌なんです。
独りは心が壊れそう張り裂けそう粉々になりそう
だから独りにしないで何しても良いから独りにしないで
僕なら大丈夫だからお願いですお願いです好きにしていいから
殴っても切りつけてもタバコでもなんでも最後に殺してくれてもいいから
お願いです
独りにしないで
「それにだんだん痛みを感じなくなってきちゃって・・・んんっ・・・!」
突然キスされた。
僕の両頬を包み込むみたいに添えられた
悟浄の手があたたかくてあたたかくて
気づいたら
泣いてた。
「悟浄、悟浄・・・」
捨てないで。独りにしないで。言いたい。言わなきゃ。言いたいのに。
言葉にしようとすると、伝えたいことがどっと押し寄せて
何から話していいのか分からなくなって言葉がうまく出てこない。
「悟浄、悟浄・・・」
「いいから。なんも言わなくて。」
「悟浄・・・悟浄・・・」
「もっと泣けよ。」
ぎゅっと抱きしめられた。
そしたら
言いたい事がまっさらになって
頭の中が静かになって。
「悟浄・・・。」
「うん。」
「ずっとこうしてて・・・。」
「うん。」
それからベッドに移って
悟浄に抱きしめられたまま眠った。
次の日も。その次の日も。その次の日も。
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八戒視点。