ああ面倒くさい。

今日提出の書類に捲簾大将のサインがどうしても必要で
休暇中の彼からサインをもらうべく、
僕は書類を片手に朝の花街を歩く羽目になっている。

隊員に彼の所在を聞いたら
彼は花街にいるというのだ。

捲簾大将とはあくまで上官と副官の関係で、それ以上でも以下でもない。
性欲処理というか興味本位というか
数回寝たけど大したことじゃない。
上官と副官。それだけ。

だから休みの日に何しようがどこにいようが勝手だし
性生活にも口を出す気はないが、
軍人(しかも大将)が花街に入り浸り売春宿に寝泊まりするのはどうだろう。
堅物の竜王敖潤に知れればどんな処罰が下されることやら。

「軍人さん?
それならここの2階にお泊まりですよ。
部屋の女の子は昨日外で仕事だったから、今丁度お一人の筈。」
はいはいそうですか。
女の人とよろしくやってる姿を見なくてすむのはいい。

「おじゃましますよ。」
部屋の中はまさに猥雑。
壁やら家具やらは売春宿にありがちな赤、ピンク、紫の極彩色。
そして化粧だか香水だかのむっとする香り。
化粧品が散らばる鏡台。
つい立てには見覚えのある軍服が無造作に引っかかってる
そして服だか下着だか分からない面積の少ない服もいくつか。
すべて夜のもの。

ベッドを覗き込むと
捲簾大将があほみたいに寝息を立てていた。
おそらく裸。
布団から覗く厚い胸板から思わず目をそらす。
ああやだやだ。何気取りだこの男は。
人が部屋に入ってきても気づかない程寝入っているとは。
余程お盛んだったとみえる。ああやだやだ。
書類にサインが欲しいだけなんですけど。
なぜ僕がこんなところにまで。バカらし。

うんざりしつつ、後ずさると足に何か当たった。
転がったハイヒール。
ヒールは、10センチくらいか。黒くてつやつや光ってる。

よくこんなの履いて歩いていられるなあ、と
ほんの出来心で、履いたらどうなるかが猛烈に気になって、
風呂上がりで雪駄だけつっかけていたということもあり、

履いてみた。
おお、いい眺め。ヒールが10センチだから、視界も10センチ高くなるのかあ。
しかし、女の人はこんな物履いてよく歩けるなあ。
なんて思っていたその時。

「楽しいか?」
見られてた。

 

「おじゃましますよ。」
部屋に誰かが入って来る気配。
声からすると天蓬だが奴がこんなところに来るとは思えない。
とりあえず狸寝入りしてたら、隣でごそごそしてる気配がしたから
薄目を開けて見てみると。

ベッドの横で、麗しの天蓬元帥が女のハイヒールを履いていた。
どういう状況だこれ。
にしてもハイヒールに合うな。
「楽しいか?」
ふいに話しかけられて目をまんまるにさせてるのもかわいい。

「や、書類にサインが欲しくて。」
「・・・ふーん」
ぺらりと書類を出してきた手首を掴んで力任せに引き寄せる。
「うわっ・・・と」
天蓬がバランスを崩して俺の膝の上に倒れ込んだ。
きっと俺を睨む。いい顔だ。
「ヤろうぜ。」
「昨日の今日でどれだけお盛んなんですか。」
「昨日は別にヤッてねえよ。」
「じゃあなんで」
「俺はこういうがやがやした所で寝るのが好きなの。
女が外でウリやるって言うから。ちょうどいいなと思って。
家よか近いし。」
俺を睨む目つきが少々緩む。
わっかりやすい奴。これはOKも同然だ。
「っ・・・ん・・・」
胸ぐら掴んでキスしたら抵抗しなかった。
流されやすすぎ。可笑しくてしょうがない。
お前仕事どうする気だ。

「その前に、お願い。
煙草1カートン買ってやるからお願い聞いて。」
「??」

下だけ下着も全部脱がせて上はYシャツだけ。
下はこの部屋の女のガーターベルトと網タイツを失敬して履かせてやる。
そこにエナメルのハイヒールだ。それでベッドに座らせる。
「タンノ君みたいですね。」
「誰それ。」

足が生っ白くてキレイだから異様に似合う。
西方軍の元帥様がガーターベルトに網タイツで
ハイヒールが似合うとは誰も思うまい。
「楽しいですか?」
「あぁ楽しいね。」
そう言ってガーターのベルトをなぞると、
天蓬のそれがひくりと反応した。
こいつもまんざらじゃねえんだ。

期待が手に取るように分かる。
こっちも我慢の限界だけど。
「そっち向けよ。」
無理矢理平静を装おうとして
自分から出る声が自分でびっくりするくらい冷たい。

四つん這いにさせて後ろを解す。
前もさわってみるとすでに尋常じゃなく濡れてた。
今まで何回か抱いたけどこんなこと、なかったよな?
「あっ・・ぁ・・・んっ」
すんごい格好でシーツにぎゅっとしがみつく元帥殿。
いいねえ。どうにかなるくらい。
手加減無理だわ。一気に奥までねじ込んだ。
「あっ・・・!」

「えっろい体してんなお前。」
「っ・・・!」
耳元でそう言って、耳たぶをしゃぶると
ぎゅうぎゅうに締め付けてきた。こいつ。
なら、こういうのも好きだろ?
うなじを甘噛みしながら後ろからガンガン突いてやったら。

「けんれん、、、」
「なに?」
「中、出してください。」
なんて事言う。

あーあ、おたがいスイッチ入っちゃったかな。

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